電子機器用ワイヤ・ケーブル

電力や通信用の電線と違って、電子機器は極めてバラエティに富んでいますから、そ こで使われる電線も多品種少量生産になるものが多く、標準化も困難です。そのため 電子機器用ワイヤ・ケーブルでは最も標準化が進んでいるUL 規格 の場合も、初めに標準を作って、それに基づいて製造するというというアプロー チでなく、製造者が独自に設計したワイヤ・ケーブルの安全性をアメリカの安全規則 や UL 独自の評価方法に基づいて評価し、登録するかどうかの判断を下すという方法 をとっています。この中の一部は、業界標準 (de-fact standard) として 定着し、しかも、絶えず新しいものが生まれるという、非常に優れた仕組みです。

電子機器用ワイヤ・ケーブルは、次のように分類すると考えやすいと思います。

電子機器用ワイヤ・ケーブルの中でも、電力との接点になる電源コードは 各国の安全法規に直接関係するため標準化ができていて、法規やメーカーのカタログ から必要なものを選択する程度で使えます。

フックアップ・ワイヤ (hook-up wire) というのは、機内配線に使われる 電線で、絶縁電線と、シールド線が代表的なものですが、導体やシールドの構造に ついて、いろいろなバリエイションがあります。導体に絶縁被覆を施しただけとい う絶縁電線 (insulated wire) や単純なシールド線 (shielded wire) については、業界標準が存在するため、選択に迷うことはありません。

フックアップ・ワイヤの名称は、機内配線の形を整えるときに、フック(鍵)の ついた棒でワイヤを引っ張り上げることから来ていますが、一度配線してしまえば、 めったに動かすことがなく、繰り返し曲げに対する強さは考慮されていません。

ケーブル (cable) というのは、機械的な保護を目的とする (jacket) 等を有する複雑な電線を意味するのが普通ですが、ワイヤとケ ーブルの境界はあいまいで、明快な定義はありません。必要な電気特性、機械特性、 耐環境特性にあわせて、いろいろな構造が開発されていますが、最も単純なケーブル が同軸ケーブルです。

同軸ケーブル (coaxial cable) というのは、内部導体と外部導体と呼ばれ るふたつの導体を同心円上に配置したもので、幾何学的には1芯のシールド線と同じ ものですが、高周波の電磁波を伝送するために、高周波の損失と電磁波の反射を減ら す考慮が払われています。概して、導体が太いほど損失が少なく、長距離で使えるよ うになりますから、必要な減衰特性から、導体サイズを選定するのが最初の選択にな ります。

同軸ケーブル以外のケーブルは千差万別で、導体、絶縁体、シールド、ジャケット、 フィラー等の種類と構造により、実に多くの種類があって、標準化は不可能ですから、 ごく一部のものが業界標準として定着しているにすぎません。ほとんどは、必要にあ わせて設計し製造することになります。同軸ケーブルを含めて、一般のケーブルも、 一度配線してしまえば終わりというケースが多く、繰り返し曲げにたいする強さは 考慮されていません。

フレクシブル・ワイヤ (flexible wire) フレクシブル・ケーブル というのは、我々が付けた名前ですが、繰り返し曲げを考慮したワイヤ・ケーブルで、 曲げやすく、塑性疲労に強いワイヤです。ワイヤ・ケーブルに繰り返し曲げを与える と、いずれは導体が破損して断線しますが、これは導体の塑性疲労が原因です。

塑性疲労の研究がさかんになったのはジェット旅客機のコメットが一定回 数飛行すると空中分解するという事実に直面した後ですから、比較的最近です。同じ ように電線の分野でも、ポータブルな電子機器の登場以前は、繰り返し曲げに直面す ることはなかったのです。

我々は、電子機器のワイヤ・ケーブルが繰り返しまげに直面するようになった時代 から、この問題の研究を続け、いろいろな設計技術や生産設備を開発し、独自の技術 を確立してきました。ブロードウェイのミュージカル等、信頼性の要求される分野で 数多く使われています。

カール・コードというのは、ケーブルを螺旋状に加工して、スプリング としての機能を持たせ、伸縮自在にしたものです。弾性のあるジャケット材料を使用 して、加熱成型することで実現します。

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